女性の一人旅

安全トレッキングのご案内

ここでは、ガイドブックやインターネット上に寄せられた読者の投書に見られるネパールトレッキングの危険性、特にトレッキング会社やゲストハウス等の観光産業に従事するスタッフと単独女性旅行者との間におけるトラブルについての情報を検証し、安全トレッキングの道を探ります。

 

ガイドブックから

まず、「地球の歩き方」1999-2000版にある記述です。

『タメル地区にあるNepal Valley Trekkingで、ポカラからジョムソンへのキャンプ・トレッキングを予約した。出発の日来たのはガイドひとりだけで、「他のメンバーは病気で来られない」と言い、ポーターやキャンプの装備のことをたずねると、「後で来るから」とうそをついた。とうとう誰も来なかったので、2人だけでロッジに泊りながら登った。ガイドは、私のジャケット(防寒用、代理店が用意すると言った)を持ってきておらず、さらに夜な夜なSEXを強要するしまつ(ちなみに冷たく断りました)。トレッキングから帰り代理店へ行き、キャンプができなかったので差額の代金の返済を請求したが、とうとう返してもらえなかった。こういったことは、たびたび起こっていると予想される。穏やかで良心的な人が多いネパールだが注意。(在ドイツ C.H.'96)』

カトマンズのH.S.A.に問い合わせてみると、「早速調べてみたが、Nepal Valley Trekkingというような会社は業界では誰も知らない」とのことでした。
ネパール政府観光局に登録してない会社も把握できないくらいたくさんあり、観光業を営む資格さえない業者も多く、他の旅行会社の印刷物をコピーしてそれらしくみせて、格好を整えているようですが、当然上記のように、何の装備・スタッフもかかえてはおりません。

この文を読んでみると、なぜおかしいと思った時に契約解除しなかったのか、料金を払い戻してくれなかったら、政府観光局や代理店協会に相談することができたかもしれない。また、それでもトレッキングにでかけ、ガイドの不信な行動にも懲りずにトレッキングをずるずると続けるというのも、ちょっと首をかしげます。その先にもっと恐ろしいことが待ちうけているかも、と想像しなかったのでしょうか? しかし、そのようなことに機敏に適切な対応をすることに慣れていない旅行者だからこそガイドを頼みとするのであって、ガイドや旅行業者としてあるまじきものであることには変わりはない。
また、たいていの旅行者は日程が限られており、そんなことに時間を取られて肝心のトレッキングが楽しめなかったらなんにもならない。途中からガイドをほっぽりだして勝手にひとりで帰ることもできない。当局に行くにしても交通・言葉の障害もあるし、わずかな金額のロスならエイ面倒臭い、ということになってしまう。

私にも各国で経験ありますが、なまじっか言葉が通じて、旅行慣れしていると自分で思っているとかえってだまされやすいこともあります。
なんとか無事に帰国できて、まあ少し月謝を払ったが、いい勉強になった、と言えればいいですが、取り返しのつかない例もありますので、念には念を入れることです。

こちらにも↓、Nepal Valley Trekking に被害を受けたとする報告があります。(ドイツ人)

Bad Experiences With Kathmandu Travel Agents On A Trip to Nepal and Tibet
 

次に同じく、「地球の歩き方」1999-2000版にある記述です。

『ネパールという国にはとくに産業もなく、開発援助に頼らざるを得ないというのが現状です。そのため、外国の影響を受けやすい国だともいえると思います。そしてそんなネパールで最近新ビジネスが生まれました。日本人女性を相手にしたビジネスです。旅に何かを求め、開放的になった女性を相手にするこの新ビジネスでは、1人の日本人ガールフレンドをつかまえられれば、“遊んでよし”“貢いでもらってよし”“ヴィザが取れたらもっとよし”という、1粒で3度おいしいビジネスです。対象となった女性たちにしてみれば、別に被害者というわけではありません。個人対個人のお付き合いですから一見何の問題もないように見えます。しかし地元の人々にとっては、労せずして1日でかなりの大金が入ってくるビジネスです。そんな新ビジネスが身のまわりにあるとすれば、汗水流して働くのがばからしくなってくるのは当然の結果です。そして新たに多くの人がこのビジネスを始め、そして今度はビジネスを目的として日本人女性に近づく人々が増えてきます。そんなつもりのない私にとって、このビジネスマンたちを相手にするのは苦痛でした。(後略)。(K子さん '97)』

確かにこういうネパール人もたくさんいます。
とにかく、オバサンでもなんでもいいから日本人女性を見つけて、ヴィザを取り、入国さえしてしまえば、後は不法滞在でもなんでもいい、ガッポリ稼いで帰国すれば御の字だ、という手合いもいる。
ちょっと前までは、招待状の手紙ひとつで3ヶ月の観光ヴィザが下りました。でも今は、招待者の所得証明等の書類を添付しなければならず、結婚してしまうのが手っ取り早いのです。
トレッキングに行って招待状を書くように頼まれた方も多いというより、ほとんどの人が頼まれているはずです。
日本から大金を持って帰って来た同胞のサクセスストーリーがジャパニーズドリームとなって彼らを駆り立てるのでしょう。
言い寄られてちょっといい気分になって、まあお茶でもおごってやって旅の暇つぶし土産話といった軽い気分でいて、あぶない薬でコロリでは遅い。
いい気にさせられたら乗せられていると思ったほうがいい。
また重婚を憚る彼らではない。

だが一方で、女性旅行者の遊び心からネパール人スタッフへのお誘いの話もよく耳にします。
10年以上前にバリ島に行ったとき、浜辺で日本人女性とインドネシア人のカップルを見ながら、日本にいたことがあるインドネシア人男性が、堪能な日本語で日本人女性の札びら切っての乱行ぶりを語ってくれた。
ネパールでも同様の話は、ネパール人の間では周知の事柄だ。
相手をしないと、逆にサービスが悪いと、会社にねじ込んでくる女性もあるとか。
たいていの賢明な女性はそんなことを望んでトレッキングに行かれるのではないですが、旅の気軽さから、そのときの雰囲気でなるようになることもあるでしょう。
一部の不良女性客には、少女売春で体を壊してインドから戻ってきたネパール人女性たちも多く性病が広がっていることも、まあ知っておいてもらいたいもんです。

 

Webサイトから

さて今度は、インターネットにある海外からの報告です。

Web Forum-'Ethics in Tourism'

ここに寄せられた関連報告をご紹介します。

Regional Perspectives in Tourism
Subject: Sex offences and Nepal
Posted by: A.Armstrong

Message:

Hello,

I am a human rights activist and have also spent some years in Nepal, long enough, I think, to have some insight into various aspects of tourism and of human rights. 

I am very interested in forwarded e-mails about sexual offences against tourists in Nepal that resulted from a discussion on Frederick Noronha's paper on tourism in Goa. 

Nina Rao expected the identities of men involved in these offences against tourists to be published on the Web. It seems apprpriate to make the following information available for safety-conscious women trekkers and for people who would like to see a stronger ethical code in tourism.

This warning appeared in the Nepalese press.

In a country like Nepal, which is dependent on tourism, it gives cause for serious concern when sexual offences against Western tourists are committed by men within the travel industry itself. Mr Ang Zangbu Sherpa, the owner of Highland Sherpa Trekking and Mountaineering Pvt. Ltd., has been committing such offences with the collusion of his office manager, Sunil Karki.

Ang Zangbu Sherpa, who comes from Junbesi in the Okhaldunga district, married a British girl and set up a trekking business. Clients from Britain, the U.S.A., New Zealand and other countries have enabled him to become wealthy through tourism. He also organises the Everest Marathon. 

The government of Nepal apparently makes no attempt to prevent Ang Zangbu Sherpa's crimes against women. However, his guilt has been substantiated by firm evidence. 

Published in "Prakash", Kathmandu, Nepal.

[Translated and summarised, but strictly factual.]

The address of Highland Sherpa is:- P.O. Box 3597, Jyatha, Thamel, Kathmandu, Nepal. The Everest Marathon is jointly organised by this company and a company in the UK, which specialises in individual tailor-made journeys to Nepal and is a general sales agent for Highland Sherpa. Clients stay at the Mustang Holiday Inn, Jyatha. It belongs to the son-in-law of the King of Bhutan.

The guilt of Ang Zangbu Sherpa and Sunil Karki was brought to the attention of the Home Minister and papers relating to it existed in the office of the Nepalese Prime Minister. Recently rape and sexual harassment and sexual exploitation of tourists in Nepal has had some publicity on the Internet.

In spite of smooth promises from the Ministry of Tourism, the only apparent sign of change is that Ang Zangbu Sherpa appears to be using an alternative name; A. Salaka. [Possibly Sunil Karki is also using another name.]

I do hope publishing this info does some good as travel advice for women's safety! It's more radical than travel advisories from the Department of State or the American Embassy in Kathmandu.

[要約]
イギリス人と結婚して、ターメルにあるHighland Sherpa Trekking and Mountaineering Pvt. Ltd.というトレッキング会社を経営するMr Ang Zangbu Sherpaは、マネージャーのSunil Karkiと共謀して、外国人女性に性的いやがらせを働いた、という記事です。ネパール政府はこのことに関して何の処置も取らなかったと添えられてある。

この件に関して問い合わせましたら、H.S.A. 社長のプルバの回答は以下の通りでした。

『私が、1992年、Nepali weekly newspaperで仕事を手伝っていた時、ある男が上記の記事を持ち込んできて、新聞に載せてくれように頼みましたが、その女性当人に会わせてくれず、言質が取れないので掲載は見送った。その後その記事はある月刊誌に載った。
後日、直接Ang Zangbu Sherpaに会って話を聞いたところ、全く否定した。彼女が支払うべきトレッキング代金を払わなかったので争いになり、Ang Zangbuが彼女をたたき、彼女の服が破損した。そこで彼女はレイプされたと言って回ったということです。』

その他、西洋人女性に対する数々のハラスメントについてとその処置におけるネパール政府の観光産業へのえこひいきによる怠慢さ、アメリカ大使館の対応に対する不満を主張する論調の報告が、上記のHPの他、下記のHPにもたくさんあります。
参考のためご覧ください。

Letters re:Sexual harassment of turists

しかし、プルバによると、アメリカ大使館やネパール内務省等の権力は強く、また観光に力を入れている当局としては、外国人に対するするいかなる小さな犯罪もないがしろにされることはない、とのことです。

 

H.S.A.による対応

カトマンズには500を越えるトレッキング会社があります。そのうちごく一部に不良業者は確かに存在しますが、そのほとんどが誠実で信頼できるものです。全体として、ネパールは東南アジア等に比べ安全で、たいていの人が好印象を持って帰国されます。

プルバは、1998.3より、ネパール・トレッキング代理店協会のニュースレターや諸誌を出版することになっており、近日これらのテーマを誌上で扱うことにし、業界全体の問題として検討していく姿勢です。
旅行者すべてが安心できる環境にしていきたいものです。

観光局や、トレッキング協会も繰り返し、登録業者のガイドを利用することを推奨しております。これは何も、ギルドのように、登録業者だけの利益を確保するための目的からではありません。ひとりのふとどき者のために、ネパールの観光業界全体、あるいはネパール国が悪い風評のためにダメージを受けるからです。

H.S.A.のスタッフは、お互いのバックグランドを知り尽くした昔からのつながりがあり、素性の知れない人を雇用していませんのでご安心下さい。
また、女性ガイドもいますのでご利用下さい。

「女性の一人旅」注意事項まとめ
  1. 全くのひとりでトレッキングに出かけないこと。できれば一人旅そのものを避けることをおすすめします。上記のようなネパール人男性が待ち構えていることは、事実です。ネパールに限ったことではないですが。
  2. 最近は、カトマンズでも、若者の風俗の乱れ、ヤクザ(仕事は主に、借金の取り立てや総会屋)の台頭他による治安の悪化が目立ってきたようです。夜の一人歩きは避け、日中でも服装等に気をつける。(ショートパンツ等は着用しない)
  3. ガイドを雇う時、ガイド自身と対一で交渉しない(会社と交渉する)。ゲストハウススタッフの紹介には乗らない。
    ゲストハウスやホテルでは、中には特定のトレッキング会社と提携していたり、自身がトレッキング会社を運営しているところもあります。そういうところは、ロビーなどで、掲示板やパンフレットで情報提供しています。
    問題は、そこで働いているスタッフが、あなた個人に(そっと)トレッキング会社紹介の話を持ちかける場合です。ろくな事務所もスタッフも装備もないような会社は、このようなルートでしかお客をつかまえられないからです。
    お客さんの心理としては、まったく知らない旅行社をこれから訪れるのは不安だし、親切でフレンドリーそうなスタッフから話を持ちかけられれば、渡りに船とばかりに飛びつきたい場合もあるでしょう。
    また、インドなどこれから行く目的地へのバスチケットを買ってきてやるとか言って、途中までしかいけない切符を掴まされることもあります。
  4. 旅行会社に出向いて交渉するとき、観光局登録等を確認する。
  5. 支払いの際、契約内容を書いた書面またはその内容を明記した領収書を発行しないところとは契約しない。
  6. 単独の場合、テント・コックとガイド等を雇うと高くつくのは事実で、通常ガイド(とポーター)とロッジ泊まりでのトレッキングとなる。だがテントや装備をレンタルであつらえるのではなく常備しているところはちゃんとしたと会社といえるので、テント泊のフルサービスもやっているか、また、実際に装備のストックを見せてもらって確認するのもよい。
  7. せっかくの楽しい旅ですから、いい思い出だけを持って帰っていただきたいものです。そのためには準備万端にすることです。現地で飛び込みでトレッキング会社を見つけるのが、果たして準備万端といえるでしょうか? いいくじに当たるか、よっぽど目が肥えてないとむずかしいですね。
  8. 「親切な人ほど下心がある」
    普通、知らない訪問者に対しては、たいていは無頓着というか、わざわざ接触しようとは思いません。

    おめめパッチリはなすじスッキリの外国人との出会いに期待する潜在意識が心の隙間。
    日本では、これからの1週間にいい出会いがあると出勤している人はまずないのに、どうして外国での1週間にそんないい出会いがあると考えられるのでしょうか
  9. 日本でもしっかりしている人は外国に行っても大丈夫。いい旅して下さい。
  10. 最近の、「地球の歩き方」2003-2004版 にも「女性ひとりのトレッキング」という投稿があります(P.238)。「ガイドと2人で歩くほうが危険、できれば日本人男性を見つけて一緒に行動させてもらえばよい。」としています。ポカラで見つけたガイドらしいです。おそらくきちんとした会社のスタッフではないでしょう。「安物買いの銭失い」どころか、もっと大切なものを失うことになりかねません。
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